ITP問題とこれからのアフィリエイト事情 | SEO対策ドットコム

ITP問題とこれからのアフィリエイト事情

ITP問題とアフィリエイト

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要約:

  • ITPの問題は、アフィリエイト市場に大きな打撃を与えている。
  • Apple社が打ち出した広告トラッキング防止機能は、今後さらに厳しくなる。
  • ユーザーが直帰・転送される動きが見られた場合には、Cookieを削除するのがITP。

はじめに

今回は一風変わったタイトルになっていますが、SEOとは切っても切り離すことのできない、アフィリエイト事情の今後の見解を解説していきます。

主に当サイトへ訪問くださる方は、アフィリエイターさんやメディア運営者、マーケティング担当者の割合が多いのですが、その中でも昨今のApple(Safariブラウザ)によるITP機能に頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ITPとは?

ITPとは、Intelligent Tracking Preventionの略で、Apple社が打ち出した広告トラッキング防止機能です。

Cookieやローカルストレージを使ったシステムによるトラッキング行為を制限する為に考案された機能で、プライバシー保護の観点から、Google (Chrome)もサードパーティCookieが段階的に排除するといった発表がされたばかりです。

そもそもトラッキングがなぜ問題となるのか

トラッキングとは文字通り、人の行動や挙動を追跡したデータを主に広告目的で収集する仕組みのことです。

Appleを代表とした巨大なプラットフォームを所有するIT企業は、この広告目的のみに利用されるデータを個人情報やプライバシー保護の観点から現状不適切であると判断しました。

そのような事から、インターネットを閲覧するユーザーの行動データの取り扱いを規制する為に、トラッキング行為に対して規制を設ける動きがITPになります。

ITPの歴史

ブラウザに搭載されているITP機能は、2017年から始まり、少しずつ規制が強化されてきているものです。
ここでは難しいことは省略して、初心者でもわかるように簡単にITPの歴史を振り返っていきます。

ITP1.0

2017年9月に 始めてのITP規制となる ITP 1.0 がsafariに導入されます。

ユーザーが訪問しているサイトとは、別のドメインから発行される3rd party cookieが「発行から24時間後に無効」となり「30日後」にブラウザ側から削除されました。
また、ユーザーと親和性の低いサイトからも直帰するような行動が見られた場合に削除される機能も搭載されました。

ITP1.1

以前の仕様に加えて、ユーザーと親和性の高いサイトであっても、ユーザーが直帰するような行動が見られた場合に3rd party cokkieは24時間後に削除されました。

ITP2.0

3rd party cookieは即時削除。
サイト内での行動遷移がないユーザーはリターゲティングが事実上不可能となりました。

更にユーザーが訪問しているドメインから直接発行されている1st party cookieであっても規制対象となります。
ページ遷移の際にトラッキングを目的とした複数のリダイレクト(ビュースルートラッキングシステム)を利用するようなは 1st party cookie は制限が掛かります。
また、トラッキングと思わせる疑わしい挙動が見られるドメインが関与する場合は、リファラにも取得の規制がかかります。

ITP2.1

Javascriptを用いた cookie であると、1st party cookieでも有効期限が7日となりました。

ITP2.2

同様にJavascriptを用いた1st party cookieの有効期限が1日に短縮される。

ITP2.3

Cookieの代替案として使用されていたlocalStorageを用いたトラッキングや、Cookie以外のストレージデータも最大7日間で無効化されました。
CookieではなくlocalStorageでITPを回避していた計測にもテコが入ったことになります。

また、Javascriptで取得できるリファラは、サブドメインは取得できず、ドメインだけとなりました。
今まで取得できていたサブドメインの情報は、ITP2.3の環境下ではドメインのみにダウングレードされ、取得できなくなります。
発リンクの引数ではなく、リファラにトラッキング用の引数が付与することでトラッキングを可能としていた仕組みを排除することが目的です。

アフィリエイターやASPは死活問題となる

このITP規制が進むと、アフィリエイターやアフィエイターと広告主を結びつけるASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)は、正常なトラッキングを簡易的に行うことが困難となる為、現在も打撃を受け続けています。

スマホの普及率とAppleのiPhoneの普及率から事実上、日本であるとSafariが一強となっており、多くのネットユーザーを対象にトラッキング規制がかかっていることがわかります。

Google Chromeもこの規制導入を追従しているというから問題は更に加速しているのです。

2021年9月モバイルブラウザシェア(日本) 資料:StatCounter Global Stats

ITP問題を解決するのに必要な条件

では今後、どのような仕組みを用いて計測を行えば、アフィリエイターやASPが受けているITPからのトラッキング防止による損害を緩和できるでしょうか。

Appleはユーザーのプライバシー保護を行う事が目的となるので、ユーザーが自発的にアクセス/閲覧しているドメイン以外からの情報取得(付与)が行わないようにすれば良い。

これは抜け穴ではなく、迂回テクニックでもない話で、ユーザーが認識していないドメインとトラッキングを目的とした通信が行わなければ、プライバシー保護は守られる事となります。

つまり、ユーザーが自分の意思やアクションによって推移したドメインから発行された 1st party cookie のみが付与・保持が可能であり、 1st party cookie 発行した信頼されたドメインからのみ取得が可能となるでしょう。

この仕組みを実現するには、まずユーザーが使用するブラウザ上でトラッキング専用のドメインに直接アクセスしてはいけない。
Cookieを付与するトラッキングサーバーは、ユーザーが目視できるURLに存在していなければ無効(または制限対象)になりづらいという事です。

ITPによるトラッカードメイン判定は今後更に厳しくなると考えられ、従来のようなバウンスを利用したトラッキング目的だけのドメインが介入していたり、 1st party cookie であっても、Javascriptといった第三者から埋め込まれる危険性のある付与・取得方法ではITPの制限に抵触してしまう可能性が高いのです。

まとめ

2021年10月現在、ITPは今もなお規制の範囲を緩められることは想定されていません。
今後も更に個人情報・プライバシー保護を行う為にブラウザを強化してくることと考えられます。

ITPを提唱するAppleのSafari、それを追従しているGoogleのChromeも、更にアフィリエイターやASPの頭を悩ますことになると予測されます。
しかしながら、楽天アフィリエイトやAmazonアソシエイトといったサービス(商品)提供元のドメインから発行されるCookie等を使ったCV計測は、ITPの規制概念には抵触せず、今後も規制対象にはなりづらいと考えられるので、Cookieの発行・取得はフロントのドメインで行い、ASP機能を所有する処理・管理はブラウザが介入することのないバックエンドで稼働させる仕組みを取り入れる事ができれば、アフィリエイト市場は再び、その活気を取り戻すことが可能となるのではないでしょうか。

よくある質問

Google ChromeもITP規制にかかるのでしょうか?

Safari同様、Google ChromeにもCookie規制が間近に迫っています。サードパーティークッキー(3rd Party Cookie)の利用が許されない時代に突入することでしょう。

AppleのSafariに搭載されたトラッキング防止機能は、ネット広告にどのような影響をもたらしますか?

Appleは、インターネット広告のターゲティングに対するユーザーからの嫌悪感や不信感の高まりから、プライバシーを保護する意図で厳格な仕様をブラウザに搭載することを進めています。今後、トラッキングを用いたネット広告は、一部の技術を覗いて厳しいものとなるでしょう。

ITPに対応しているASPは?

従来のようにASPがCookieを付与する方式ではなく、ASPがCookie付与の指示や制御を行うことで、ファーストパーティークッキーによる計測はITP規制下でも可能です。

サイトをまたいだトラッキング計測は今後も規制が厳しくなると思いますが、直接広告主が発行するタイプのトラッキングであれば、規制対象外となっています。

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